こんにちは、答志島のいがちゃんこと五十嵐ちひろです。答志島は現在、各種養殖のハイシーズン!牡蠣に海苔にわかめに、どれもおいしい冬の味覚です。そんな中、海苔屋さんのさっちゃんからヘルプがかかり、海苔屋さんの手伝いに行って来たので、そのレポートをしますよ。
朝8時半、電話でヘルプ要請
さっちゃん「いがちゃん、今日は島にいますか?」
いが「いますよー」
さっちゃん「暇だったら、海苔手伝って欲しいんだけど」
いが「いいですよー、あっ、午後2時からオンライン会議があるのでそれまでだったら」
さっちゃん「できる時間だけでいいです。すぐ来れる?」
いが「(まだ起きぬけなんですゴメンナサイ)1時間後に行きますー」
ってな具合に突然海苔屋の手伝いをすることになりました。
海苔屋さんだけでなく、牡蠣でもわかめでも、人手の確保は大事な仕事です。手伝いに行く人からすると、親戚関係のより近い所ほど優先度が高く、手伝いを頼む人も「あの子は仲良いけど旦那さんが○○とイトコだからそっちの手伝いに呼ばれる関係でうちには呼ばない」みたいに基準がはっきりあるので、人材の取り合いにはあまりなりません。ちなみに牡蠣屋さんは外国人研修生に来てもらっている事業者も多いです。
さっちゃんの家「マルエ」の納屋に着いたらまずカッパを身につけます。島の人たちは大体自前のカッパを持っているんですが、わたしは持っていないので納屋にある予備のカッパを借りました。
カッパとは、雨合羽ではなくビニール素材でできたオーバーオールのことです。島とファッションでも紹介しています。
「ほがし」作業
そして、収穫後に脱水して塊になった海苔をほぐします。答志弁では「ほがす」と言います。網袋に入った海苔を出して、それをほぐしながらカゴの中に入れます。ある程度の量がたまったら、カゴを移動させて、次のカゴにまた海苔をほぐしながら入れていく、という作業です。この時は2人1組で作業していたので、相手の手の動きを見て、そろそろ次のカゴかな、とか考えながら作業しました。海苔が入ったカゴは結構な重量で、重ねていくと最後には自分の身長よりも高くなるので、持ち上げるのが大変です。
海苔の回収
しばらくすると、海上の養殖場で海苔を積んでいるさっちゃんの旦那さんから電話が入り、そこで作業をしていた人のうち5人が2台の軽トラで船越(答志と桃取の間にある港)へ向かいます。浮桟橋に2台の軽トラを駐車すると、船が入ってきました。海苔の収穫用の船はちょっと変わったかたちをしています。
船に乗り込むと、1人が海苔をちりとりのような道具に集めて、あらかじめカゴの上に何枚も重ねて広げてあるの網袋に入れていきます。そしてあとの2人が網袋の口を縛り、軽トラの荷台にそれを投げ入れて行きます。この袋が重たい重たい。最初のうちはポイポイと投げられていても、だんだんと重さが身体に蓄積されていく。生半可な運動より効くトレーニングです。
ちなみにこの作業はこの日3回あり、その間に網袋の口を「かめしゃくり」(かみしゃくりかも知れない)という方法で上手に縛れるようになりました。
全ての海苔が積み終わると、わたしたちはまた納屋に戻り、旦那さんは海苔の収穫に戻ります。
余談ですが、この浮桟橋の上の作業しやすい場所にきちっと駐車できるようにするために、さっちゃんは運転の特訓をつけられたそうですよ。地面に小さな板を置いて「この上にタイヤが乗るように停めろ」みたいな。それ教習所の教官レベルじゃん。それくらい正確に運転できないと桟橋から落ちたりするかも知れないので仕方ないのかも知れません。それにマルエの納屋の前の道も、軽自動車1台停まったら人ひとり通り抜けるのも難儀するような細い道なので、そこでも運転技術は必要です。それだけの運転技術をもってしても、さっちゃん自身は未だに本土での運転は不安というので面白いです。
海苔のできるまで
ここで、海苔が作られるプロセスを簡単に説明しましょう。「①収穫→②脱水→③ほぐし→④冷凍→⑤解凍→⑥洗浄→⑦刻む→⑧水と混ぜる→⑨漉く→⑩乾燥」これが大体の流れです。⑤以降は共同加工場で行われる作業で、海苔屋さんが自分たちでやるのは④までです。
詳しくは海苔の工場見学ツアー!を読んでみてください。
納屋に戻るとまた、海苔の「ほがし」です。タイミングを見計らって、脱水の済んだ海苔を運んだり、次の収穫後の海苔を持って来るときのために、カゴに網袋をかけたりと各々がバランスよく仕事を進めていきます。わたしは意外と単純作業が好きなので、こういう現場で働くのは楽しいです。
ランチタイム
3度目の収穫の海苔を納屋に持ち帰ると、ランチタイムになりました。和具のかねきんのお弁当です。海苔屋さんは毎日働きに来てくれる人の為にお弁当を用意しなきゃならないんですよ。家族だけでやっているんだったら、おにぎりにぎって来たり、カップ麺を用意しておいたりすればいいけど、飽きがこないように別のお店で注文してみたり、おかずをリクエストしたりと工夫が必要です。水分補給用のペットボトル入りのお茶も用意してくれているし、コーヒーメーカーもあるし、なかなかに福利厚生の整った職場環境ですよ。ちなみにお茶のペットボトルのフタにはあらかじめいがちゃんの「い」と書いてありました。行き届いてる・・・!
最初に話していたように2時から予定があったので、お昼を食べてすぐに上がることになったのですが、久しぶりの肉体労働に心地よい疲れを感じて気持ち良かったです。案の定夜もすぐに眠れましたし、次の日の筋肉痛はすごかったです。
島に住んでいても、本土で仕事していたり、夫の家に行ったりで、ちょっと答志島で暮らしている、という感覚が薄れてしまうんですが、納屋仕事の手伝いで「島の人間だなあ」という気分を味わえたのも嬉しかったです。どんどん使ってください。手伝いの機会が増えたら自分用のカッパも買おうと思います。
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