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152 返盃とギンチュー Drinking culture on the island

こんにちは、答志島のいがちゃんこと五十嵐ちひろです。突然ですが、みなさんお酒は好きですか?わたしは、最近は友だちからもらったラム酒と玄関で育てているミントを使ってモヒートを作るのにハマっています。

 

なぜお酒の話が始まったかと言うと、お酒を飲むことは島での生活にふか~~く関わっているからなんです。

月曜と金曜に賑わう酒場

島の中にはお酒を飲めるお店が結構あります。鉄板焼き屋さんとか、スナックとか、居酒屋とか。そして、漁師さんの仕事がお休みの火曜と土曜の前の晩は、そういったお店がとっても賑わうんです。ビジネス街で金曜の夜にお酒を飲む人が多いのと同じ理由ですが、やっぱり朝早く(むしろ夜遅く?)に漁に出ることもある漁師さんはその傾向が顕著だと思います。忘年会とか、何かの慰労会とかをするときも金曜日の夜に設定することが多いです。

肉、刺身、エビフライ等の乗った膳
忘年会やお祝いは旅館でするのが定番。これは去年の文化保存会の忘年会の食事。

ストロング系が人気

世間の時流と同じく、答志島でもストロング系のお酒が好まれています。よく見かけるのは宝酒造のCANチューハイ、銀色の缶に入っているのでみんな「ギンチュー」と呼びます。あとはサントリーの烏龍チューハイ、宝酒造のお茶割りなどが定番です。もちろんビールもよく飲まれます。バーベキューとかをするときは缶ビールですが、お店やお互いに注ぎ合うような席では瓶ビールです。

屋外で車座になって酒盛りする人たち
いつぞやの船の新造祝い。この時は日本酒にやられた。

お祝いでは日本酒

最近はお酒も様々な種類が出ていて、特にお酒好きな人にはストロング系が好まれることもあって、日本酒の出番はめっきり減ってしまっていますが、お祝いのときは日本酒は必需品です。先日のような初のぼり、船の進水式、神祭などのお祭りでも日本酒を飲みます。

大盃と一升瓶
和具の神祭に用意された日本酒と大盃。地獄の二升イッキ飲み。

酔ったときだけしゃべってくれる人

漁師さんたちの中には、お酒の席にいるときだけ口をきいてくれる、という人がちらほらいます。普段はシャイで口数が少ないんだけど、酔っ払っていると肩たたきながら話しかけてくる、みたいな。前の晩の飲み会で、陽気に魚をくれる約束をした人が次の日に無言で目も合わさずに魚を寄こしてくる、みたいなことも起こります。

返盃

島に来て初めて知った飲み会の文化が「返盃(ヘンパイ)」です。やり方を説明しましょう。まず一人がもう一人にビールを注ぎに行きます。注がれる方が、グラスに残っているビールを飲み干すと、相手がグラスにビールを注ぎます。そして注がれた方は再びグラスいっぱいのビールを一気に飲み干し、そのグラスを相手に渡します。先にビールを飲んだ方がグラスにビールを注ぎ、もう一方がそのビールを飲み干し、グラスにビールを注いで相手に返します。これがひとしきりの返杯の流れです。

 

ここでグラスを返された側が普通に飲み始めればいったん返杯は終わりますが、また一気に飲み干して相手にグラスを返せば、また相手も一気飲み、と延々と続けることができる、体育会系の儀式です。大体始めるのは注がれる側ですね。グラスに残ったビールを飲み干せばそれが試合開始のゴングって感じです。

返盃の説明イラスト

ちなみにわたしが返盃をすると「いがちゃん返盃もできるんか!」と盛り上がるので、体調が良いときなどにときどきやります。そんなときはいつも、地域おこし協力隊の市役所面接を思い出します。終盤で「五十嵐さんはお酒は飲めますか?」と質問され「はい、ある程度は飲めます」と答えると「それはよかった」と言われたときのことを。あれは、こういうことだったんだな、と。

 

「飲みにケーション」という言葉もあるくらいですから、お酒を一緒に飲むっていうのは、コミュニティの中にすんなり入ることの一助にはなると思います。他の地域の移住者の話でもお酒に助けられた話はよく聞きますし。

 

わたしも特に最初の年に一人でスナックに飲みに行って仲良くなった人がいっぱいいるし、祭りのときとかも「こっちゃ来て一緒ん飲め!」って言ってもらったおかげで聞けた面白い話もたくさんあります。移住者にとってはお酒を飲めるのは一つのアドバンテージになるかも知れないですね。笑

 

早く気兼ねなく返盃できる時がくることを願いながら、答志島と飲酒のお話を終わりにします。