こんにちは、答志島のいがちゃんこと五十嵐ちひろです。島に移住してから島の人によく言われるのは「仕事が無いでなあ・・・」つまり、せっかく移住しても生活していくのは難しいということ。
島の仕事(男性)
では、仕事が無いはずの答志島で人々はどうやって生活しているのか?確かに男性の仕事は限られています。まずは漁師。島に住む現役世代の男性のほとんどは漁師さんです。その他には、海産物の加工業や仲買い、旅館業、飲食店や商店、また漁協の職員、市営定期船の乗組員などの仕事があります。その他には専門職の人たちもいます。例えば大工や左官工、鍛冶職人、美容師、理容師などです。また、ごくわずかですが、島の外へ仕事をするために通っている会社員の人もいます。桃取は鳥羽まで12分で行けますし、船が欠航になることも少ないので、答志や和具と比べると桃取にその割合が多いようです。
こうやって挙げてみると、仕事のバリエーションは多いように感じますが誰でも簡単に就けるわけでは無い仕事ばかりです。例えば漁師をするためには漁業権が無くてはいけません。漁師さんは皆、親やその親の世代から受け継いだ権利を得て漁業者になっているんです。また、飲食店や商店、各種職人も、限られた人口を相手にする商売となる為、新規参入は難しい状態です。つまり、移住してきても就ける職業がほとんど無いというのは事実なのです。
個人的にねらい目と思えるのは定期船の船員です。朝は島から出て、夜は島に帰ってくるダイヤの船があるため、常に数人は島在住の船員が必要とされるのです。休みは不定期ですが、収入は安定しています。募集のタイミングさえ合えば移住者にとって良い就職口なのではないかな、と思っています。
島の仕事(女性)
一方女性の場合はどうでしょうか。代表的な仕事は海女さんです。これは説明するまでも無いでしょう。そして漁師の妻。答志地区では夫婦で漁に出ることが多いので、漁師の妻と言っても漁師を陰で支える妻では無く、一緒に漁をする妻です。次に飲食店や商店の経営、旅館の仲居さん、水産加工場の作業員、漁協の職員、マリンバンクや郵便局などでの仕事が挙げられます。他に児童生徒の給食の調理員や、資格がある人はデイサービスで介護職、島内の医療施設で看護師や歯科衛生士として働く人もいます。また、鳥羽まで船で通う人も多くいて、やはり旅館の仲居さんや、看護師や薬剤師などの仕事をしているようです。島の人が経営する会社の水産物加工場や、お土産物屋さんで働く人もいます。
結構多くの働き口があるな、と思いませんか?ただこれらの多くは、いわゆるパートの仕事で、ここで働いてさえいれば人ひとりが生活できる、というものではありません。
海女さんにしてもそうです。答志島の場合、ほとんどの海女さんの操業期間は夏の数日間だけですので、どんなに腕のいい海女さんでもこれで食っていくというのは不可能です。もちろん、冬のナマコ漁やわかめ漁、島の外の漁業権を得て年中操業することで、海女業で生活できる人もいますが、ごく限られた人たちです。
島には本当に仕事が無いっぽい
答志島は本土から近く、正社員として仕事をすために島から通うこともできそうなものですが、通勤に1時間以上かかるのが普通の首都圏の人と違い、地方では船と自家用車合わせて1時間かかってしまうような通勤はあまり現実的ではありません。また、濃霧やしけで定期船が欠航することもある為、急きょ仕事に行けなくなることも懸念事項です。実際、高校や大学までは島から通っても、就職するタイミングで多くの人が島の外へ出て行くのです。
では、移住してきた人や、家業を継ぐ以外の方法で島に残りたい人はどうしたらいいのでしょうか。仕事が無くて生活できないから、とあきらめてしまうには惜しいほど魅力的な所なのですから、何か解決策があって欲しいです。
起業した人たち
一つの正解として起業という選択肢があります。先ほど飲食店や商店は新規参入が難しいと書きましたが、桃取にある島のパン家HaNaReのご夫婦はしっかりとパン屋で生計を立てています。島の人たちの生活にパンが欠かせない、という所に目をつけて需給のバランスのとれた事業ができています。
また、同じく桃取では家業を継ぐのでは無く新たに始めた美容師さんや整体師さんがいますし、店じまいをした居酒屋さんを、看板を換えて受け継いだ人たちもいます。こうやって見てみると意外と新たに始める事業も地域に受け入れられ、本人たちも自分のしたい仕事で生活ができるものなんだな、と分かります。
こんな感じの、隠れた需要を掘り起こすようなビジネスがピンポイントで見つけられるんだったら、「仕事が無い」と言われる答志島でも生活できるんじゃないかな、と思います。
島に住むには起業が唯一の手段なの?
わたし自身はどうなのかと言うと、地域おこし協力隊の任期があと1年を切ったので、「仕事が無い」というのは他人事ではありません。退任後は外国人観光客をターゲットとした誘客と体験プログラムの提供を行ってそこそこ食っていける状態にしたい、と現在準備中です。
全国の移住者のインタビュー記事なんかを読んでいると起業をした人がとっても多い。なので、わたしも移住するなら起業も当たり前に視野に入れなきゃ、って思っていました。なので実際起業しようと思っているわけだけど、起業しなきゃ住めないなんてその場所に住むことのハードルが高すぎですよね。起業なんて変わったことしなくても、大好きな故郷に住み続けることができたり、その土地を好きになった人が簡単に移住できたりする場所であることが大切だと考えると、「仕事が無い」というのは切実な問題なんだな、と最近気が付いたのです。
島での就職口を増やすには・・・、どうしたらいいのかぜひ考えてみてください。
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島めぐり (月曜日, 03 6月 2019 14:55)
私は田舎で起業するなら、よほど信頼できる仲間か夫婦でないと無理だと言われました。資本金も大事だけどそれ以上にパートナーが大事だと。。。
いがちゃん (木曜日, 06 6月 2019 14:33)
島めぐりさん
確かに、持っているスキルや資源をあてにして仕事仲間を決めると、方針の違いでダメになると言いますね。
あえて人に頼ったり巻き込んだりしないスタンスで、一人でやって成功している人もいます。