こんにちは、答志島のいがちゃんこと五十嵐ちひろです。毎日毎日あっっっついですねー!!まだ7月だけど、夏の盛りを感じています。さて、夏と言えば、ここ答志島では海女漁のシーズンです。
和具浦の海女さん
海女(あま)は素潜りで獲物を獲る女の漁師さんであることは、もう説明もいらないと思います。答志島を擁する鳥羽市とお隣の志摩市には全国の海女さんの約半数がいると言われ、最近の調査だと600名くらいだそうです。この中には1年中海に潜って、それで生計を立てている人もいるのですが、答志島で海女漁が行われるのは基本的には夏のみです。(一部の海女さんは冬にも潜るのですが、それに関してはまたの機会に・・・)
今回は、わたしが住む和具浦(和具地区)の海女漁について紹介したいと思います。和具では海女漁をする人はおそらく70人くらいです。多分統計上はもう少し少なく計上されていると思いますが、実際今日出漁する船を見ていてざっくり数えるとそのくらいの人数でした。海女というと女の人の仕事、というイメージがありますが、和具ではこの仕事は女性に限定されておらず、半分くらいは男の人です。一般的には男あまとか海士(かいし)とかって呼ばれます。
答志島では海女さんや海女漁自体のことを「いりど」と言います。男性にも女性にも使える言葉で、「海女」よりも「いりど」のほうが耳にする機会が多いです。今日、海女漁に行くのか行かないのかは漁業組合と海女漁の代表の人が決定しますが、海女漁に出られるときは「いりどの口が開く」と言います。
和具浦で口が開くのは、1年間に最大7日間だけです。海女漁のシーズンは6月からお盆まで。その中の大潮の日を狙って漁が行われます。波が高かったり水が濁っていたりすると、口は開かないので、必ずしも7日出漁するわけではありません。7日間に限定されているのは、水産資源保護、つまり獲物をとり過ぎない為です。
海女漁の流れ
海女さんの獲物はアワビ、サザエ、ウニ、岩ガキ、海藻などです。アワビが最も高値で取引されるため、アワビ狙いで行って、見つけたらついでに他のものを獲る人とか、アワビは獲るのが大変なので、はなからサザエ狙いの人とか、アラメという海藻だけを採りに行く人とか、それぞれのスタイルがあります。
海女漁は1日2回に分けて行われます。干潮の時間にできるだけ合うように、始まる時間はその日によって違います。何時に最初の漁が始まるかは、その日の朝に町内放送がかかります。(今日は5時台の放送で起こされました)漁の開始時刻30分前に出航し、開始時刻になると、浜辺や役員さんの舟に掲げられた旗が降ろされます。旗が降ろしてある間だけ、漁ができるのです。1時間半潜ったら、1時間の休憩の後また出漁し、再び1時間半潜ります。
休憩は和具の人たちは浜辺で行うのがほとんどです。自分の潜りに行っているポイント近くの浜に火を焚いて休みます。夏の暑い日でも水にずっと浸かっていると身体は冷えてくるので、休憩には火に当たらなくてはならないのですが、今日は水温もとっても高くて、全然寒くなってこなかった、とみんな言っていました。火に当たるよりむしろ水に浸かっていたいくらい。そんな日もあるんですね。
2回目の漁から帰ってきてしばらくすると、今度は水揚げです。サザエやフクダメ、磯もんと呼ばれるその他の貝類などを重さを計って揚げていきます。そして最後がアワビです。アワビはオスが黒アワビ、メスが赤アワビで、黒の方が値段が良く、2倍ほどの値段になることもあります。
こういう流れを全部写真に撮ろうと思ってちょこちょこ顔を出していると、「入りん行くのぉか?(潜りに行くのか)」と言われますが、わたしは漁業組合の組合員になっておらず、いわゆる「漁業権」が無いので、海女をすることができません。泳ぐのは好きだけど、海藻をかき分けて潜るのは想像しただけでも恐ろしいので、今のところは見るのと食べるの専門でいいかな!!
同じ地域おこし協力隊でもうすぐ退任する鳥羽市石鏡町(いじかちょう)の大野愛子さんは、海女さんをやっていて、現在鳥羽一番街で写真展を開催中です。(2018年8月19日まで)石鏡町は、夏も冬も海女漁をやっている地域です。どれも素敵な写真ばかりで、わたしの陸や舟の上から眺めているだけのレポートよりずっと濃厚で魅力的な海女さんたちの姿が見られますので、ぜひ見に行ってくださいね。
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