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078 島の医療 The medical of the island

こんばんは。「健康だけが取り柄」なんて言葉がありますが、わたしの場合「健康が数ある取り柄のうちの一つ」と言わせてもらいましょう、答志島のいがちゃんこと五十嵐ちひろです。(その他の取り柄は「明るい」「前向き」「自信家」「笑顔がすてき」「おおらか」「声がよく通る」「イタリア語がペラペラ」など枚挙にいとまがありません)

 

さて、わたしは28歳独身女性というスペックで移住して来ました。しばしば思うのは、独身の若く健康な人間だからすんなり移住できたけど、そうでない人には離島への移住ってかなりハードルが高いのでは?ということです。その一番の理由は医療への不安。

 

答志島の医療の現状

ここ答志島には医療施設が3つあります。桃取の市営診療所と、和具の中村医院という内科、それから答志のおち歯科医院です。どの施設も診療時間は基本的に平日の昼間のみで、歯医者のおち先生以外は島外に住んでいますので、夜間は実質無医村になります。

 

また、人口2千人程度の島なので当然と言えば当然ですが、皮膚科、眼科のような医院はありませんので、そういった病院にかかる必要があれば、必ず船に乗って本土まで行かなければなりません。昼間定期船に乗るおじいさんやおばあさんに向かってのあいさつは「病院か?」が定番です。そして、出かけたついでに2つの病院をまわって薬をもらってくる、ということも珍しくはありません。

コミュニティセンターにあるAED
AEDのある場所は何となく把握しています。実家の近くだとどこにあるのか知らなかった・・・。

鳥羽市の医療施設も少ない

しかし、定期船が着く本土である鳥羽市を見てみると、ここも人口2万人を切った小さな都市なので、病院は多くありません。これが困った所なのです。多くの過疎地域が抱えた問題ですが、鳥羽市もやはり産院はおろか婦人科もありません。また、鳥羽は海女さんが多く、その分潜水による負担から耳に問題を抱えている人もたくさんいるのですが、耳鼻科がありません。くいっぱぐれなさそうなのに不思議です。ともかく、鳥羽の離島に住む人にとって、鳥羽市内に出かけたところで十分な医療を受けられるわけでは無いということなのです。

 

鳥羽市の医療施設の一覧
鳥羽市の医療施設の一覧

上の画像はとば 暮らしの便利帳より引用しました。 

緊急時にどうすればいいのか

わたしは車を持っていないため、病院へ行くときは大体自転車や電車を使います。今は若くて健康で独り身だから、それでもいいけれど、頻繁に病院へ行かなければならないお年寄りは?突然具合が悪くなる子どもを複数持つ親は?離島に住むことに大きな不安や不便を感じているのではないでしょうか?

 

また、大の大人だって、いつ緊急で病院に行かなければならなくなるか分かりません。重度のアレルギーや突発的な胸の痛みなどが起こったときに、離島へは救急車は来てくれません。チャーター船を頼んだり、本当はやっちゃダメなことですが、漁船に乗せて鳥羽へ向かったりしなければならないそうです。(人の移動手段として使用する船には特別な許可が必要です)救急救命講習を受けたときも、手順の中で周囲の人に指示する「あなたは救急車を呼んでください」「あなたはAEDを持って来てください」の他に「あなたは船の手配をしてください」を付け加えるのです。

漁船クルージング
漁船でも人を運ぶ許可はとれるけど、海上運送法という法律で細かく決められているらしくわたしはよく分かりません。

いち地域おこし協力隊に解決できる問題じゃない

さて、この問題を提起したところで、わたしにはなにもできることはありません。せいぜい自分自身に何か起こったとき、体調不良やけがをした人に遭遇したときにどのように行動するかを改めて確認しておくくらいです。

 

ただこの事実を知っている人が増えれば、どこかでより有意義な議論が交わされるかもしれない、そんなことを期待してこの話を終わりにします。