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075 初任者研修で学んだこと The things I learned at the seminar

こんにちは、研修が結構好きないがちゃんこと五十嵐ちひろです。前回に引き続き、地域おこし協力隊および集落支援員の初任者研修についての話です。今度こそ、初任者研修で学んだことを記しておきたいと思います。

 

法政大学現代福祉学部教授の図司直也先生と、徳島大学総合科学部准教授の田口太郎先生のお話の中から、特に気になってメモしたことを「共感したこと」「なるほどな、と思ったこと」「新たに学んだこと」「大事だと思ったこと」に分けて、わたしなりの言葉でまとめてみます。長くなりますので、興味の無い人はぜひオススメ撮影スポットについてとか、答志弁講座あたりを読んでみてくださいね。

グループワークの風景
研修のグループワークの様子。同じグループのメンバーの活動地域もちかぢか紹介します。

ちなみにそれぞれ、2つとか3つとかあるのだけど、とんでもなく長い記事を書くことになりそうなので、1つずつ紹介しようと思います。

共感したこと

田口先生が説明されていた、地域から人が流出する理由に共感しました。埼玉に住んでいた頃のイメージでは、多くの若者は「田舎で一生を終えたくない」「こんな所に住んでいたくない」という気持ちで、故郷を出て都会へ行ってしまうのだと思っていました。「地元に残るなんて負け組」みたいな意識があるのかな、って。しかし実際は「本当はここにいたい」「大好きな故郷で暮らしたい」という思いがあっても、仕事が無いことや医療への不安などから、生まれ育った地域を離れる人が多いのです。

 

答志島の人たちを見ていても、島に残っている人はもちろん、外へ出て行っている人も、本当に島が大好きな人ばかりです。その証拠に、や正月、ゴールデンウィーク、大事な祭りのときには、多くの人が帰省してきますし、何かあったときにすぐに帰れるように鳥羽市内や伊勢、松阪など近隣の地域に住んでいる人も非常に多いのです。

 

この前提無くしては、地域おこしには関われない、と今では思っています。

ビンゴ大会
お盆最終日のビンゴ大会は普段より子どもの人数が多いです(島外に住んでいる孫たち)

なるほどな、と思ったこと

図司先生に話していただいた中での人材のとらえ方がなるほどな、と思いました。田舎は人口が少ないです。なので、人材が少ない、と思いがちですが、実際は1人の人が多くの技術を持っていたり、特殊な能力を持っていたりします。これを「人材にボリュームは無いけれど、バリエーションは豊富だ」と先生は説明されていました。

 

しかし、それを適切な場面で活かすにはどの人がどんな人材であるのか、というのをしっかりと把握しておかなければなりません。そのためには、コミュニケーションをとることが必要だ、というのが先生からのアドバイスです。

 

例えば何かイベントをしようと考えたとき、誰に何を頼めばいいのかの的確な判断は、普段から地域の人とコミュニケーションをとっていて、Aさんはチラシのデザインができる、とかBさんは会場づくりに必要な機材を貸してくれる、ということを知っていればできるのです。このアドバイスは、以前書いた自転車の鍵を失くしてしまったときの話にも通ずるところがあるように思えます。

新たに学んだこと

地域が自覚的である単位」という概念が今回の研修で新たに学んだことであり、その意識を持つことが大切だと思いました。単位というのは地域の単位のことで、下の図のように、ひとくちに「地域」と言ったときにどの単位での「地域」を指しているのかは状況によって変化します。小学校区だったり、氏子による区分けだったり、合併前の村の区割りだったり、といったものが住民にとっての「地域」となり、そのとらえ方は実に様々です。

地域のスケールの例
地域のスケールの例

答志島の場合、鳥羽市答志町と言っても、その中に和具と答志という集落があるので(桃取は桃取町で別の町になります)地域の人が愛着を持っている、または地域として自覚しているのは、この和具地区、答志地区まで狭めた状態です。更に言うと答志地区の場合世帯数が多く、それをさらに3つに区切った「世古(せこ)」の方が場合によっては重要になってきます。

 

下写真の天王祭の笹飾りは世古ごとに1本ずつ立てます。現在は若者が少なくなっているのでみんなで協力し合って作業しますが、元々は各世古が競い合うようにして立てたのでしょう。

 

この「地域の単位」または「地域のスケール」の話は図司先生も田口先生もされていました。実際に現場にいる人、暮らしている人の立場で地域とらえる視点、発想は欠かせません。また、この単位を状況変化に応じて戦略的に変化させることも、地域おこし協力隊だからこそできることだと言えます。

孟宗竹を使った笹飾り
天王祭の笹飾り

大事だと思ったこと

「みなさんのキャラクターを生かしてください」という田口先生のお言葉が、地域おこし協力隊として活動するにあたって大事なことだと感じました。キャラクターというのはその人の「人間性」「経験」「思い」「技術」などです。それらと活動地域の特徴でハーモニーを生み出すことができれば、外部人材としてその地域に入った強い意義が生まれるのでしょう。

 

以上、今回の研修の座学において学んだことの多くのことの中から4つだけ紹介しました。教えてもらったことを自分自身のスキルにし、また100パーセント行動に移せたらスーパー地域おこし協力隊になれるんだろうけど、多分そんな器じゃないので、せめて4つだけでも人に伝えることによってちょっとだけでも自分の頭の中に蓄積しておきたい、いざというときにその一部分だけでも思い出して行動に移せたらいいな、そんな気持ちで書きました。