こんにちは、1年前まで生のひじきの色を知らなかったいがちゃんこと五十嵐ちひろです。みなさんは知っていますか?
生のひじきは上記の写真手前、緑褐色をしています。
わたしの住む集落、和具ではわかめの養殖が盛んだと以前話しましたね。わかめの刈り取りは4月末までで、ゴールデンウィーク明けくらいまで、加工や出荷、養殖場の後片付けなどが続きます。それが済んでから最初の大潮での仕事が、ひじき漁です。
追記(2018.5.18):上の写真ひじきじゃなくてアカモクかも、との指摘がありました。言われてみれば全然違うかも。多分ひじきでは無い、ということで訂正しておきます。
ひじきは今の時期にちょうどよい長さまで成長し、もう少し海水温が高くなると、状態が悪くなる(島の人は「溶けてく」と言う)ので、この辺りでは、この4月末から5月中頃にかけて刈り取り、出荷を行います。
ここ和具では「であい」という方法で漁をします。多分漢字は「出合い」かなー。和具は、140ほどある世帯を地区で区切って「組」を作っています。その組ごとに割り当てられた漁場でひじきの刈り取りを行うのです。
おじいさんたちに話を聞くと、昔は漁業組合に加入していれば(漁師をしていない家でもだいたい準会員くらいにはなっているので、漁業権があります)強制的に各世帯から人を出さなければならなかったし、互いの組で助け合ったりもしたのだそうです。今では組は組でしっかりと分かれているし、漁業権があってもひじき漁に参加しない家も結構あります。
これが結構いいお小遣い稼ぎになるそうで、普段の仕事をちょっと休んでひじき漁に出るっていう人もいるくらいです。
一方となりの答志では、漁場を札入れしています。個人が漁場を購入し、刈り取りと出荷をするのです。どちらがいいか、っていうのはわたしにはよくわかりませんが、同じ島の隣の集落でも全然やり方が違うのが面白いですよね。
さて、このひじき漁、なぜ大潮の日に行うかと言うと、ひじきは岩場に多く生息しているから。潮が引くと顔を出すため、刈り取りがしやすいんです。なので、大潮でも、午前中から正午にかけて干潮になる日を選んで刈り取りをします。
岩場に生えているひじきを鎌で刈り、網袋に詰めては積み上げを繰り返し、ひたすら刈れるだけ刈ります。大体その場所を刈り終えると、舟で回収し陸へ運びます。陸では軽トラがスタンバイしており、ひじきを干場に運ぶのです。
干すのはコンクリートの敷いてある屋外です。「うええ、口に入るものをこんな地べたに置くの?」と思うかも知れませんが、ひじきって全国どこへ行ってもこんな感じじゃないですかね。一応言い訳しておくと、これをこのまま袋詰めするのでは無く、加工業者を通して市場に出回るので、みなさんの食卓に届く頃には食べても問題の無い衛生レベルになっているはずです。
ひじきは干しているとだんだんと黒っぽく、馴染みのあるひじきの形になってきます。恥ずかしながら、去年このひじきの作業を見るまで、生のひじきがこんな色をしているなんて知りませんでした。でも、他所からお嫁に来てひじき漁をしない家の人とかだと、島にいても知らない人が結構います。笑 ちなみに、ひじきはわかめや海苔のように生では食べられません。干さずに食べる場合長時間煮なければならないんだとか。
干すのも、ただ置いておけばいいのではなく、ある程度乾いたら、ひっくり返して逆の面も乾かさなければなりません。ひっくり返すのはなかなか根気のいる作業です。刈り取りは、岩から岩へ飛び移るようにして作業するので、体力が必要なため、和具だと大体65歳以上の人はやらない、というのが不文律になっています。しかし、ひっくり返す作業は高齢の方でもできる為、これだけをバイトでやる人もいます。返し番の人がいると、その分刈り取りできる時間が増えますから、これもまたかなり良い値で雇ってくれるようです。笑
こんな具合に出荷されたひじきが全国の食卓に並び、皆さんのお腹を満たし、生産者の懐を温めるというわけです。答志島のひじきは太くて歯ごたえがあり、おいしいですよ。今の時期、島の旅館や食堂では出てくるはずです。答志島へ遊びに来る際は、ぜひいつものひじきとの違いを感じてくださいね。
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Hiroba (日曜日, 20 5月 2018 20:17)
生のひじきの色、知らなかったです。最近スーパーに行くと答志島産のものが目につきます。鳥羽産は勿論、県外産の物、海外の物etc、色々売っていますが、今わが家の冷蔵庫には、答志島のわかめとしらすが入っています。なぜか買いたくなるんです。いがちゃんのブログのおかげですね
いがちゃん (月曜日, 21 5月 2018 13:11)
ひじきの色、知らなかったと言われるとほっとします。笑
少しでも答志島のPRに役立っているのなら嬉しいです。
今後もよろしくお願いします。