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061 地域おこし協力隊っていい制度 How nice the Local Vitalization Cooperator is

こんにちは、もうすぐ移住して1年のいがちゃんこと五十嵐ちひろです。わたしは、地域おこし協力隊という制度を利用して、三重県鳥羽市答志島の和具地区に移住しました。地域おこし協力隊の制度については以前説明していますので、そちらの記事を読んでみてください。

移住者にとっていい制度

わたしはこの地域おこし協力隊の制度はとってもいいものだな、と思っていて、正直これがなかったら28歳で移住は無理でした。仕事も住む場所も用意がある状態での移住だったから、特別な技能や職務経験も無ければ、貯金もほぼ無かったような状態でも踏み切れたんです。ありがとう総務省。

 

現在の状態は、鳥羽市役所と委嘱契約を結んでいて、雇用関係はありません。なので副業オーケー。契約期間は最長3年(総務省からお金が出るのが最長3年まで)で、その間に起業するも、就職先を探すも、結婚するも自由にして定住できるようにがんばりましょうね~、って感じなわけです。

活動中の写真がほとんどありません。誰か今度チャリ乗っているところ撮ってください。
活動中の写真がほとんどありません。誰か今度チャリ乗っているところ撮ってください。

地域にとっていい制度

どんな場所にも絶対に良い所っていうのはあります。だけど、ずっとそこに住んでいる人には当たり前すぎて見えてこない。それがしっかり見えるのが移住者の良い所です。そんな移住者をほとんど懐を傷めることなく迎えられる、というのが地域にとってプラスにはたらくはずです。

 

また、すでに移住者が住んでいる地域は「移住しやすい所なのかな?」と思って新たな移住希望者が来る機会も増えるでしょう。

 

よそから人が入ってくるとなると、どんな人が来るのか、という不安はありますが、役所の関係で来ているなら、っていう一定の安心感があるんじゃないでしょうか。

役所にとっていい制度

地域づくりにおいて、役所には得意分野と不得意分野があります。地域おこし協力隊は、その役所にとって不得意な部分を補ってくれる存在になり得ます。例えば、役所の仕事には常に公平性が求められますが、地域おこし協力隊なら、一つの地域にどっぷり浸かって狭い範囲での地域づくりを行うことができますし、物を売ったりサービスを提供したりすることで利益を出しながらの地域振興を積極的に行うこともできます。

 

予算面では、地域おこし協力隊を受け入れ、活動させるにあたって、自治体には総務省からの一定の予算がつきます。セオリーとしては、地域おこし協力隊にかかるお金は自治体としてはゼロ、となるのです。(実際は100%確実に総務省から全額出るわけじゃないようだけど)

不満、問題、失敗

いいことだらけの地域おこし協力隊なのに、研修とか交流会で地域おこし協力隊の人と会うと、自己紹介代わりに自分がどんな問題を抱えているのか話す人が多くいる。その問題が積み重なって地域や役所の人と関係が悪くなった状態で辞めていった人の話も聞く。Yahoo!の検索バーに「地域おこし協力隊」と入力したら4つ目に「地域おこし協力隊 失敗」という候補が出てくる。

 

これじゃあ、地域おこし協力隊の制度が悪みたいじゃないか。

ところで総務省は地域おこし協力隊の英語の呼称を途中でCommunity-Reactivating Cooperator SquadからLocal Vitalization Cooperatorに変えました。
ところで総務省は地域おこし協力隊の英語の呼称を途中でCommunity-Reactivating Cooperator SquadからLocal Vitalization Cooperatorに変えました。

なんで地域おこし協力隊を「いい」って言いきれるのか

地域おこし協力隊は、色んな人にチャンスを与える制度だと思う。

 

「地方へ移住したい人にチャンスを与える」「新しい場所で活躍したい人にチャンスを与える」「過疎に悩む地域にチャンスを与える」「人と人との出会いのチャンスを与える」「できない、をできるにするチャンスを与える」「欲しい人材を得るチャンスを与える」

 

でもチャンスっていうのは、それを活かす土壌が整っていないと成功に向かっていかないんですよね。

 

わたしが地域おこし協力隊をいい制度って言いきれる一番大きな理由は、役所と地域の人たちが、受け入れの体制を整えてくれていたからです。地域おこし協力隊受け入れの先進地域の事例を学んだり、どんな活動をしてもらうのか具体的に考えたり、地域の一般の人たちにあらかじめこんな人が来るよ、と説明してくれたり。おかげでわたしは、自己紹介代わりに地域や役所の悪口を言わずに済んでいるんだと思います。

 

もちろん不安が無いわけじゃありません。島での暮らしには満足しているけど、任期終了後にちゃんと自分で糧を得て定住できる見通しはまだ立っていません。だけど、この3年後以降やっていけるのかの不安だって、移住できなかったら持たなかったものだし。

「地域おこし協力隊に失敗は無い」

三重県では現在60人強の地域おこし協力隊が活動していまして、地域おこし協力隊や役所の担当者向けに、県が研修会を主催してくれることがあります。先日も研修会がありまして、講師として、香川県の地域おこし協力隊の秋吉直樹さんが見えました。秋吉さんは全国でも珍しい県の地域おこし協力隊として活動中です(普通は市町村単位)。任期は今月いっぱいだそうで、すでに起業をされています。秋吉さんの会社で運営している「人で仕事を見つける」求人メディア「ヒトデ」はとっても魅力的なサイトなので、ぜひ一度見てみてください。

さて、その秋吉さんの話でとても印象に残った言葉があるので紹介します。「地域おこし協力隊に失敗は無い」任期終了後に定住できなくても、途中でやめたとしても、それは地域おこし協力隊にとっては失敗ではないんです。なぜなら、地域おこし協力隊になった、移住した、行動を起こした時点で絶対に何かを得ているから。移住前と何も変わらないはずがないからです。

 

一方役所にとっての失敗はあり得ます。「こんな人に来てもらって、こういう仕事をしてもらい、最終的に定住してもらう」というような目標をかかげ、予算を付けたり調整をしたにも関わらず、それらが達成できなかったのであれば、役所にとってそれは失敗となります。

 

というようなお話。わたしはこれに強く共感を覚えると共に、勇気をもらいました。勇気をもらったというより気が楽になった、の方が近いかも。もちろん、だからと言って「うまくいかなかったら帰ればいいや」って気持ちでこれから2年活動する気は毛頭ないけどね!でも、移住した時点で、移住から1年の時点でたくさんのものを得ているって思ったら、自信を持ってこれからも活動していけます。

 

秋吉さんは「地域おこし協力隊って夢のある制度だな」って言われたい、ともおっしゃっていました。地域おこし協力隊は夢があっていいモノだと思ってもらえるかどうか、そしてこの制度が続いていくのかどうか、ということも、現在地域おこし協力隊をしている人、受け入れている地域、役所、次第なのかな、なんて思いを胸に、活動していこうと思います。(ときどきこうやって「地域おこし協力隊イイよ~」と発信しながら)