こんにちは、20年前は小学3年生だったいがちゃんこと五十嵐ちひろです。長野オリンピックを見に行ったこと、大雪が降ったことを覚えています。
そんな20年前の1998年、ここ答志島では20年に1度の大事な行事が行われていました。その行事とは「お木曳(おきひき)」です。お木曳と聞いてピンとくる人が思い浮かぶのは伊勢神宮だと思います。20年に一度の遷宮、つまり本殿の建て替えの際に使用する木材を運び入れることです。そのお木曳が答志島の美多羅志神社(みたらしじんじゃ)でも行われます。
遷宮は20年に1度。つまり、1998年から20年が経った今年がお木曳の年なのです。お木曳は2018年6月4日3日なのですが、それに先立って、神社を建てる木材である御神木を製材業者から受け取り、島内に運搬しました。
※追記(2018.3.16):お木曳の日付が間違っていました。正確には6月3日です。
島内に運び込むだけでも離島ならではの一大行事です。漁船10隻が船団を組んで、伊勢音頭を歌いながら御神木を運んで来るのです。
ありがたいことに、記録用の撮影部隊が乗る遊覧船に乗れるように取り計らっていただき、御神木運搬の1日に密着しましたので、その際に撮った写真を大放出しようと思います。
出航
午前10時、答志港から8隻の船が出航します。出航前からときどき伊勢音頭を歌う声が聞こえてきます。
出航した船は港を出ると東の方向に向かってぐるりと1周まわって海の神様への御神酒を供えてから出向します。祝い事の際には必ずこれをします。
そして鳥羽の方向へむかってゆっくりと海上を走ります。途中、和具港前で和具の漁船2隻が合流しました。
御神木の積み込み
鳥羽の中野郷という港に着いてしばらくすると、御神木が運ばれてきました。ご神木は奉賛会(町内会と漁業組合、神社の役員)によって受け渡しが行われ、宮司さんに祈祷してもらっています。答志の青年団が中心となって、これらを船に積み込みます。
20年に1度の行事なので、島民にとっても珍しいこと。記念に写真を撮っている人も多くいました。
御神木は船に積み込まれると、しめ縄で巻かれます。しめ縄を持っている人もそうですが、写真にときどき写っている白い羽織を着ているのは、神社総代(役員)の方たちです。
全ての荷が積まれると、再び祈祷が行われました。すべての船、船員はお祓いしてもらいます。
船団を組む
しばしのお昼休憩の後、13時に出航、一同答志港へ向かいます。答志の漁業組合が所有するやはた丸を先頭に10隻の船が大漁旗をはためかせます。最初に2隻縦に並ぶと3列目は3隻が横並びになり、それ以降は1隻ずつ等間隔に走ります。
この陣形は練習したわけでは無く、机上で話し合ったのみのぶっつけ本番。そうとは思えないほど見事に組まれています。漁師は本番に強い。
和具港近くで、定期船に追い抜かれたので、この定期船に乗っていた人たちはちょうどこの船団を見ることができて、本当にラッキーだったと思います。
わたしが乗せてもらっていた遊覧船は、いろんな角度から撮影できるように、船団の前を走ったり後ろから追いかけたり、停まって横を通り過ぎるのを待ったりしたのですが、漁船が近くを通ると伊勢音頭を歌う声が聞こえます。漁師さんたちのわくわくや、この船に乗ることを誇らしく思う気持ち、祭り好きな性格が強く感じられました。
↓3つめは動画です。伊勢音頭聞けます↓
御神木の到着
船団より少し早く答志港に着くと、多くの人が見物に集まっていました。また、伊勢音頭を歌う声も聞こえてきます。
そして、船団は再び港の外を1周ずつまわってから入港してきました。それぞれの船は各世古(地区)ごとにかたまって乗っていたのですが、港で待つ男の人たちは、自分たちの世古の船が帰ってくるとそこに近寄っていきます。なんというか、この光景がこの日一番グッときました。本当にすごいタイミングでここに居たな、としみじみ感じたんです。
すべての船が港に着くと、港で待っていた男性たちも加わって荷がおろされます。これはあっという間に済んでしまいました。そして御神木は今度はこれからお木曳の日までの間保管場所となる「じんじの舞台」へ運ばれます。答志地区の神祭のときに舞台の作られていた場所ですね。港から舞台までの間ももちろん伊勢音頭の歌と共にです。細い道を木材を持った男たちが埋め尽くす光景は壮観です。
御神木の舞台への格納が済んでから再度祈祷が行われ、全て済むと皆で乾杯。直会が始まり、答志の人和具の人が入り交じり酒を酌み交わします。ひと仕事終えてほっとした人、楽しかったなー、満足している人、気合入れるために既に飲みすぎな人、色んな人がいるけれど、ともかく無事に済んでよかった!
終わりに
20年に1度の、島の人にとっても貴重な行事に随行させていただいたことに、感謝の気持ちでいっぱいです。この一大行事をブログという形で残し、今回行事を見ることのできなかった島出身の方や、答志島を知らない人、1人でも多くの人に答志島の伝統、その魅力を伝えることが、せめてものみなさんへのお礼になることを願います。
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濱口一利 (水曜日, 14 3月 2018 07:46)
良かったです、写真ほしいです。
カジトシマル (水曜日, 14 3月 2018 20:30)
とてもいい撮影でしたありがとうございました名古屋の方にいる娘からいいなぁだって☺
いがちゃん (木曜日, 15 3月 2018 10:17)
一利さん
写真は渡す方法考えますー。
カジトシマルさん
ありがとうございます。
娘さんのようによそに行っている人に少しでも様子が伝わればいいな、と思います。