こんにちは。毎日寒いですね。答志島のいがちゃんこと五十嵐ちひろです。今日はこの寒い盛りの寒い時間帯に行われる桃取の弓引き神事を見てきましたよ!ちなみにここら辺では「神事」と書いて「じんじ」と呼びます。
先月はおとなり菅島の弓引きの様子をお伝えしましたが、今回は答志島の西側の集落、桃取での弓引きです。八幡神社のお祭りで、豊漁豊作を願う神事として弓引きを行います。
答志島の集落についてはこちらをチェック⇒ 3つの集落 海の性格、人の性格
夜明け前6時過ぎに、弓引きが行われる神社前に着くと、会場準備の真っ最中。特に老人会の方々が大活躍している様子です。
桃取では祭り用の組というのが決まっており、岩佐組(いわさぐみ)と新宅組(しんたくぐみ)の二組に町が分かれています。弓引きでは毎年この組が交替で「弓を引く側」と「迎える側」となり、神事を執り行います。しかし、人口減少により、この組制度をきっちりと機能させるのは難しくなりました。現在では祭りごとに役につく人たちをバランスよく分けて、組を作っているそうです。
空が白み始めてくるとだんだんと、人が集まってきました。弓を引く場には砂が敷き詰めてあるのですが、その後方(写真では手前)にムシロが敷いてあります。このムシロは氏子の人たちが持ち寄ったもので、ひとつひとつに名前や屋号が書いてあります。まずはここに漁業組合や町内会の面々が入場し、座ります、そして弓を引く若者たちも入場。祭りの進行者に促され、お神酒のお供えが済むと、いよいよ弓引きの始まりです。
桃取の弓引きの最大の特徴は、的に当てる難易度が高いこと。射手から的までの距離はおおよそ20mくらいでしょうか。これは昔から変わっていないそうです。そしてさらに、低い位置から高い位置に向かって射るため、ただ的を狙えばいいというわけではなさそうです。桃取のおばあさんに言わせれば「うちの弓引きは本物」とか。確かに菅島は的が近かったし、和具も当たる距離まで近づくらしいし、答志に至っては弓は射るふりだけだし。弓引き自体に重きを置いているのが桃取のやり方なのかも。
射手は3人で、1度に2本の矢を射ります。これを3回繰り返すので、全部で18回矢が放たれます。弓を射るのは若者の役目、高校生もいるそうです。最初は八幡神社に向かってお祈りをします。写真の中の鳥居の左上にムシロと木で囲われた一角がありますが、ここにはお囃子をする人たちが控えています。やんややんやとヤジを飛ばし、祭りを盛り上げます。このときは「よーくお願いしておけよー!」と言う声が聞こえてきました。一方神社の中では弓引きの間、宮司さんが祈祷を行っているんだそうです。
弓引きが一巡すると、飛んだ矢を回収して再び射手に渡します。お囃子のおじさんたちは、ここでも活躍。柵を乗り越え、急斜面を降り、飛んで行った矢を集めに走ります。そしてそれを弓を渡す役の若者が射手の所へ持ってきます。渡す所作は独特で、まず射手に覆いかぶさるように矢を差し出し、それをゆっくりとした動作で射手が受け取ります。
弓は18回中4回的中しました。しかもその内1回は的のほぼど真ん中にしっかりとささりました。「100年に1回の大当たりやぞー!」という声が聞こえてくるほど。確かに美しいアタリでした。射手たちは、弓を扱う練習はするけれど、実際にこの場所、この距離の的を狙うのはほぼぶっつけ本番なんだそうです。それにしては上々の成績。観衆の中のおじいさんやおばあさんも感心していました。
最後の矢を射ると、先ほどまで矢を渡していた役の人が、今度は的を取り、それを持って町内をまわります。最後に神社近くの角に戻ってくると、その的を男たちが奪い合いし、細々になった的の一部をそれぞれ家に持ち帰ります。最後は、裃を着た人たちを始め、町の人たちみんなが八幡神社を参拝して祭りはおしまい。みるみるうちに会場も片付いていき、6時半に始まったお祭りは、7時半には終わっていました。すごいスピード感。
桃取では、このお祭りを観光資源にしようという動きがあります。朝一番の定期船よりも早い時間のお祭りですので、気になった方は来年ぜひ、泊まりでお越しくださいね!!
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hareruzo (日曜日, 11 2月 2018 23:06)
大変丁寧に弓引きの様子を撮影していただき感謝です。ふるさとの懐かしい祭りに心が温かくなりました。今年の弓引きはなかなかの名人ぞろいでしたですね。ありがとうございました。
いがちゃん (月曜日, 12 2月 2018 09:05)
hareruzoさん
コメントありがとうございます。
桃取出身の方に喜んでいただけて光栄です。とても素敵なお祭りでした。
間座 三照 (月曜日, 12 2月 2018 13:01)
懐かしいな。
的には当たったのかな❓
弓を射っているのは、どこの家の子だろう❓
この行事も、ずーっと続く事を 祈っております。
いがちゃん (月曜日, 12 2月 2018 15:13)
間座 三照さん
コメントありがとうございます。
的には4回当たりました。しかもそのうち1回はほぼど真ん中にしっかりささる大当たりです。
地元の人にとっては、知らない子でも顔を見てどこの家の子か予想するのも一興です。