こんな話を聞きました。
答志の人と和具の人と桃取の人の違い、それは海の荒さに比例していると。
答志の漁師はせっかちで豪胆。なぜなら海が荒いから。船上で用を足した後は1回しか振らない。悠長に振っていたら海に落ちてしまう。
和具の漁師は答志と比べればましだがやはりせっかち。海は荒いときと穏やかなときがある。船上で用を足した後は2回振る。2回ならなんとか振れる程度の波の大きさだ。
桃取の漁師は穏やかで仕事をきっちりと済ませる。海が穏やかで畑仕事もやっているから。船上で用を足した後は6回振る。それでも船から振り落とされることはない。
なんとも下品なたとえですが、答志島を知って聞くとうなずいてしまうし、笑ってしまう話なんです。ちなみにこの話をしてくれたのは答志の人です。(参考:3つの集落)
下記の地図の紫の線が大体伊勢湾と太平洋の境目です。答志は内海の伊勢湾と外海の太平洋の境に位置するため、潮の流れが激しく波も大きいのです。和具は太平洋に面していることになりますが、隣にある菅島との間に内海を形成しているため、比較的穏やかな海域になります。しばしば、定期船航路が和具までなら航行しているけれど、和具答志間が欠航になるということがあります。そして桃取は完全に伊勢湾の中に入っているために、常時海は穏やかなのです。
3町合同で県道清掃をした後に「桃取と答志の範囲の境目は見ればすぐわかる」と言われて検証に行きましたが、確かに「ここから先は桃取の人が掃除したんだな」とすぐにわかるほどキッチリと仕事されていたのが印象的でした。
もちろん、海の荒さだけで人格が形成されるわけではありませんが、ひとつの島の中にも特色があり、違っている(または違うという意識を持っている)というのはとても興味深いことではないでしょうか。
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